「賃上げの原資は、どこから来るのか?」


【前提整理】

  • 賃上げは「望ましいこと」とされている
  • 企業は利益が出れば賃上げできる、という直感がある
  • 国や政府の要請で賃上げが進む、という期待がある
  • 人件費は企業コストの中でも大きな割合を占める
  • 賃上げと同時に、物価も上がっている

※ ここでは正否を決めない。前提を列挙するだけ。


【混同されがちな点】

  • 「利益が出ている会社」と「賃上げ余力がある会社」の混同
  • 売上増と付加価値増の混同
  • 補助金・助成金と恒常的な原資の混同
  • 名目賃上げと実質賃上げの混同
  • 一時的なボーナスと固定給アップの混同

【構造分解】

① 企業内部で生まれる原資

  • 価格転嫁(値上げ)
  • 生産性向上(同じ人員でより高付加価値)
  • コスト削減(非人件費の圧縮)

→ ただし、すべての業種で可能とは限らない


② 市場・外部から来る原資

  • 需要増(景気回復・人口増・観光など)
  • 為替要因(輸出企業の円安メリット)
  • 技術革新・新市場の創出

→ 特定業種・特定企業に偏りやすい。


③ 政策的に作られる原資

  • 補助金・減税
  • 社会保険料の軽減
  • 公的需要(公共投資・発注)

持続性公平性が課題になりやすい。


④ 原資が生まれないケース

  • 価格を上げられない
  • 需要が増えない
  • 生産性改善の余地が少ない

→ この場合、賃上げは
 誰かの負担増雇用削減として現れやすい。


【結論ではない整理】

  • 賃上げは「気合」や「要請」では発生しない
  • 原資は
     付加価値の増加
     負担の移転のどちらかから来る
  • 問題は「賃上げするか否か」より、
     どこで、誰が、どのように原資を生む構造か

このテーマは、

  • 「付加価値とは何か?」
  • 「日本の産業は、どこで価値を生めているのか?」
  • 「賃上げと物価上昇は、どう折り合うのか?」

といった問いへ分解できる。

賃上げは目的ではなく、結果。 原資の話を避けると、議論は空回りする。